住宅営業の現場では、「お客様との商談は順調なのに、なかなか成約につながらない」という悩みをよく耳にします。お客様が動かない理由の多くは、情報が足りないのではなく、「安心」が届いていないからではないでしょうか。
今回は、住宅営業のコツを「地震対策の伝え方」という切り口から整理します。工務店やハウスメーカーの営業担当者はもちろん、家づくりを検討している施主の方にも、ぜひ読んでいただきたい内容です。
この記事を監修した専門家
愛知淑徳大学 建築学部 教授
古田 智基
愛知県名古屋市出身。子供時代は活発に過ごし、大学では日本は有数な地震国であることから耐震工学を専攻。二十数年の企業経験を積み、愛知淑徳大学の教員に至る。

住宅営業で大切なのは「売る」ではなく「安心を伝える」

住宅営業に携わる人であれば、一度はこんな場面を経験したことがあるのではないでしょうか。商談を重ねて、お客様との関係もだんだん深まってきた。スペックも価格も納得してもらえている。それなのに、なぜか最後の一歩が踏み出せない——。
この「最後の一歩」を阻んでいるのは、多くの場合、情報の不足ではなく「安心の不足」です。住宅は人生で最も大きな買い物のひとつ。お客様が決断できないのは、家そのものへの不安ではなく、「この家で家族を守り続けられるだろうか」という根源的な問いに、まだ答えを見つけられていないからかもしれません。
施主様が家づくりに求めているのは、おしゃれな外観でも充実した設備でもなく、「この家なら安心して暮らせる」という確信です。その確信を育てるのが、住宅営業における本当の提案力です。売り込みではなく、寄り添い。そのスタンスが信頼関係の土台になります。
住宅営業で差がつく「地震対策の伝え方」
地震大国である日本では、住宅を検討しているほぼすべてのお客様が「地震に強い家に住みたい」と思っています。しかしその一方で、「地震対策の説明をどこまで話せばいいかわからない」と感じている営業担当者も多いのではないでしょうか。
よくある失敗パターンは二つあります。一つは「うちの家は耐震等級3ですから大丈夫です」と一言で片づけてしまうケース。もう一つは、構造計算や建築基準法の話を持ち出しすぎて、お客様を置いてけぼりにしてしまうケースです。
地震対策の伝え方で差がつく住宅営業担当者には、共通した特徴があります。それは、施主様が本当に知りたいことを理解したうえで話しているという点です。施主様が聞きたいのは「倒れないか」というシンプルな問いへの答えであり、そのうえで「大地震の後も普通の生活を続けられるか」という不安への応答です。この二層構造を意識することで、住宅営業における地震対策の説明は大きく変わります。
耐震等級だけでは説明できない「揺れ」の問題
多くの住宅会社は「耐震等級3」を取得していることをアピールしています。耐震等級3は、現行の建築基準法で定められた最高ランクの耐震性能であり、確かに重要な指標です。しかし、施主様にこの等級の意味を正確に伝えられているでしょうか。
耐震等級とは、「建物が倒壊・崩壊しないための強度基準」を示すものです。最大級の地震でも「命を守る」ことを目的として設計されています。つまり、耐震性能は「倒れないこと」を保証するものであって、「揺れを抑えること」を保証するものではないのです。
| 耐震性能 | 制震性能 | |
|---|---|---|
| 基本的な考え方 | 建物を強く、硬くして地震力に抵抗する | 揺れのエネルギーを吸収し、 建物への負荷を軽減する |
| 倒壊防止 | ◎ 最大の目的 | △ 耐震性能との組み合わせが重要 |
| 繰り返しの地震 | △ 繰り返しで建物が少しずつ損傷 | ◎ 揺れを吸収し、ダメージ軽減 |
| 揺れの大きさ | △ 揺れ自体は抑えにくい | ◎ 揺れを吸収・低減する効果がある |
| 地震後 | △ 構造体が損傷し、倒壊リスクに | ◎ 損傷を抑えることで倒壊を防ぐ |
ここで重要なのが、近年の地震の傾向です。2016年の熊本地震では、最大震度7の本震の前後に、震度6弱・6強の前震と多数の余震が続きました。このような「繰り返し地震」では、一度の揺れで倒壊しなかった建物でも、続く揺れによって構造が少しずつ損傷し、最終的に大きなダメージを受けるケースがあります。
耐震等級3の建物でも、繰り返しの地震によって接合部や壁の内部が損傷し、外見上は問題がなくても「修繕なしには住み続けられない」状況になる可能性があります。これは「倒れない家」と「住み続けられる家」の違いです。
この視点をお客様に伝えるとき、押しつけや脅しにならないよう注意が必要です。あくまで「起こりうるリスクを正確に知ってもらうこと」が目的です。お客様が「そういうことか」と腑に落ちる瞬間が、信頼関係をひとつ深めます。
住宅営業が伝えるべき「制震」

耐震の概念をお客様に理解してもらったうえで、次に伝えたいのが「制震」という考え方です。制震とは、建物の中に設置したダンパー(制震装置)が地震のエネルギーを吸収し、揺れを抑える仕組みのことです。
よく使われるたとえで言えば、耐震は「地震に耐える」、制震は「揺れを吸収する」イメージです。どちらか一方が優れているというわけではなく、両方の機能を組み合わせることで、住宅の地震対策はより総合的なものになります。
- 揺れのエネルギーを吸収する
制震ダンパーは地震の振動エネルギーを熱エネルギーに変換し、建物への負荷を大幅に軽減します。 - 繰り返しの地震にも対応する
一度の大きな地震だけでなく、余震や群発地震に対してもエネルギー吸収の効果が持続します。 - 建物の構造ダメージを軽減する
柱・梁・接合部への負担が減るため、大地震後も継続して居住できる可能性が高まります。 - 室内の被害も抑える
揺れが小さくなることで、家具の転倒や建具の歪みも抑制されます。
制震の考え方をお客様に伝えると、「そんな選択肢があるとは知らなかった」と目を向けてくれる方が多くいます。施主様にとって「この営業担当者は、自分のことを考えて話してくれている」という信頼の根拠になります。
信頼される住宅営業の共通点

ここまで、地震対策を切り口に住宅営業における提案の考え方を見てきました。最後に、信頼される住宅営業担当者に共通するスタンスを整理しておきましょう。
- 「安心」を売るのではなく、「安心の根拠」を伝える
「大丈夫です」の一言ではなく、なぜ大丈夫なのか、どういう仕組みで家族を守るのかを丁寧に伝えます。 - 施主様が知らないことを、押しつけずに教える
繰り返し地震のリスクや揺れの周期の話は、多くの施主が知りません。それを「情報として」伝えることが信頼の入口になります。 - 比較の視点を持つ
耐震と制震の違いのように、選択肢を比較して説明できる営業担当者は、お客様に「この人は偏っていない」という安心感を与えます。 - 長期的な視点を共有する
竣工後も「この家は何十年後も安心して住める」という確信をお客様と一緒に育てていく姿勢が、紹介や口コミにつながります。 - 施主目線で話す
住宅業界の用語や仕様の話になりがちですが、常に「施主の生活」に引き戻して話すことで、提案はぐっとリアルになります。
地震対策の話は、関係性を築くうえで非常に有効なテーマです。地震への不安はほとんどすべての施主が持っている不安ですので、そこで誠実に向き合える営業担当者は大きな差別化になるでしょう。
地震対策の伝え方が、家づくりの提案力を変える
住宅営業で信頼を得るためのコツは、売り込みではなく「正直な情報提供」にあります。耐震と制震の違い、繰り返し地震のリスク、ダイナミックファスナーのような制震装置の仕組みを分かりやすく伝えることは、施主様の「安心」につながります。
家づくりを検討しているお客様にとっても、住宅会社の営業担当者にとっても、地震対策は「後から考えればよいこと」ではありません。計画の初期から「どう揺れに備えるか」を一緒に考え、最適な選択ができるように情報を提供していくことが、信頼される住宅提案の根幹です。
幅広い地震動に対応するダイナミックファスナー
ダイナミックファスナーは、金属と高減衰ゴムを組み合わせたハイブリッド構造を採用した制震装置です。一般的な制震ダンパーは、特定の周期帯に対して高い効果を発揮するよう設計されているものが多い中、ダイナミックファスナーは金属と高減衰ゴムのハイブリッド構造により、短周期・長周期の両方の揺れに対応できる設計となっています。これにより、さまざまなタイプの地震に対して柔軟に機能します。
住宅営業の現場でこれをお客様に伝えるとき、「揺れの種類によって対応できるかどうかが変わる」という事実は、多くの方にとって新鮮な視点です。「耐震等級3だから安心」という一本道の説明から一歩踏み込み、「揺れのエネルギーをどう受け止めるか」という視点を加えることで、提案の深みは大きく変わります。
また、ダイナミックファスナーは施工性にも配慮した設計となっており、新築住宅だけでなくリフォーム・リノベーションへの採用も想定されています。「将来の選択肢」としてお客様に伝えることも、長期的な関係構築につながります。
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