制震ダンパーとは?概要や種類、導入メリットについてわかりやすく解説

地震大国・日本で安心して住み続けられる家づくりを行うには、耐震性能だけなく制震も注目されており、制震装置で代表的なのが「制震ダンパー」です。今回は、制震ダンパーの概要やメリット、種類、導入する上での注意点を地震に強い家づくりを提供するお家まるごと制震シェルターがわかりやすく解説します。

この記事を監修した専門家

西日本工業大学 デザイン学部建築学科
古田 智基

愛知県名古屋市出身。子供時代は活発に過ごし、大学では日本は有数な地震国であることから耐震工学を専攻。二十数年の企業経験を積み、西日本工業大学の教員に至る。

そもそも制震とは

制震とは、建物や橋などの構造物が地震などの外力を受けた際に、その振動や揺れを抑制する技術または装置のことを指します。住宅の地震対策は、「耐震」「制震」「免震」の3つがあり、これまで家づくりの主な地震対策には耐震が着目されていました。

しかし、地震は大きさに関係なく発生するたびに住宅へダメージを与え、そのダメージは蓄積されていきます。小さな揺れであっても少しずつ影響を与えるので、知らず知らずのうちに住宅の構造自体の耐力が低下してしまい、大地震が発生した際に倒壊へつながるといったケースが大型地震の被害状況で見られるようになりました。

耐震性能を持続させるには、地震の揺れから来るダメージを減らす必要があります。そのため、制震技術が近年注目されるようになりました。制震技術のなかでも「制震ダンパー」は最も主流といえます。

  • 耐震(揺れに耐える)
    合板や筋かいなどの耐力壁によって、地震に抵抗して倒壊を防ぐ技術。地震に耐える技術だがダメージは蓄積されるため、耐震は劣化していく傾向がある。
  • 制震(揺れを吸収する)
    地震の揺れを制震装置が吸収して家の変形や損傷を抑える技術。費用は免震と比べると安価で、耐震性能と組み合わせることで効果を発揮する。
  • 免震(揺れを伝えない)
    地震と建物の土台の間に免震装置を入れて、地震力が建物に伝わらないようにする技術。地震の衝撃を大幅に減少できるが、導入コストが高い。

制震ダンパーとは?概要やメリット

制震ダンパーとは、地震などで発生する揺れをダンパーが吸収することで、構造など耐震性能の損傷や蓄積するダメージ量を減らす効果をもたらします。制震ダンパーの導入には、さまざまなメリットがあります。

①耐震性能の持続力向上
揺れによるダメージを減らせるため、耐震性能の持続力向上につながる。くり返し起こる地震に強い。
②地震時の被害軽減
地震の揺れを吸収し、建物の被害を軽減。建物全体の揺れを抑えるので、2階建てや高天井の住宅でもダメージを減らせる。
③快適性の向上
建物内部の振動や揺れが軽減され、快適で住みやすい住環境に。免震よりも導入コストが非常に安価で、ダンパーによってはメンテナンスフリーです。

制震ダンパーの種類

制震ダンパーは使用される素材によって種類が異なり、代表的なのが「ゴム」「鋼材」「オイル(油圧)」の3種類です。それぞれ特長やメリットが違うので抑えておきましょう。

ゴムダンパー

ゴムダンパーは、主に天然ゴム素材を使用して作られており、粘弾性の高いゴムを採用することで振動エネルギーを吸収し、建物や構造物を守ります。ゴムは変形を繰り返してももとの形に戻る性質があるため、くり返し起こる地震に強いとされています。

しかしゴムは高温で軟らかくなったり、寒さで堅くなるなど、温度の影響で劣化しやすい性質もあり、ゴムダンパー自体も施工が大がかりになるケースもあります。

鋼材ダンパー

銅・金・アルミ・合金などさまざまな種類は問わず、鋼材を使用したダンパーのことを指します。金属に力が加わり曲がる際に発生するエネルギーを利用して揺れを吸収するダンパーで、高層ビルや学校など大規模な建築物に利用されるケースが多いです。

コストも比較的安価とされていますが、変形し続けると戻りにくく金属疲労する性質もあるためくり返し起こる地震には弱い傾向もあります。

オイルダンパー(油圧ダンパー)

オイルダンパーとは、オイルとピストンで構成された筒状の制震装置で油圧ダンパーとも呼ばれています。揺れに合わせてピストン運動を起こし、オイルの粘性も利用して振動を抑える働きがあります。

くり返し起こる地震にも強いですが、装置自体のコストが高く、建物全体の制震性能を高めるには導入本数が多くなる傾向にあります。

金属×ゴムのハイブリッド構造も登場
お家まるごと制震シェルターが提供する制震ダンパー「ダイナミックファスナー®」は、金属を高減衰ゴムで覆ったハイブリッド構造の制震ダンパーです。

ゴムの粘性減衰によるエネルギー吸収だけでなく、100年長持ちの耐久性も実現しており、ゴムダンパーと鋼材ダンパーのメリットを持ち合わせています。

また筋かいに設置する分散配置型の制震装置なので、施工が大がかりになることなく、設置コストも安価に抑えられます。

制震ダンパーを導入する上での注意点

地震に強い家づくりを行う上で最も大切なのは、「耐震」です。そのため、制震性能を高めたところでしっかりとした耐震性能がなければ効力を発揮できません。耐震性能を高めるには、基礎・構造・地盤の3要素が非常に重要です。

  • 基礎:地盤と建物をつなぐ役目で、施工する地盤に対して適切な基礎が必要。
  • 構造:耐震基準に沿い、バランスのとれた配置や壁量が確保できているか。
  • 地盤:建物の荷重をしっかり支えられる強度があるか。

「制震ダンパーは意味がない」といった意見も見受けられますが、制震ダンパーは耐震性能を持続させるために必要なものです。そのため、耐震とセットで利用することを念頭に置いておきましょう。

まとめ

今回は制震ダンパーの概要やメリット、種類について解説しました。大地震が発生した場合でも、耐震性能が高ければ倒壊のリスクを減らせます。しかし大きな揺れでダメージを負った住宅に再度揺れが襲うと瞬く間に倒壊してしまいます。そのため地震の揺れを吸収する制震ダンパーが重要で、耐震×制震のセットで地震に強い家づくりを実現できます。

お家まるごと制震シェルターが提供する制震ダンパー「ダイナミックファスナー®」は、金属とゴムのハイブリッド構造で、耐震性能を持たせた住宅と組み合わせることで震度7の揺れを95%以上軽減でき、くり返しの地震にも強い特長があります。設計図面だけでわかる大規模地震への無料診断なども行っているので、まずはお気軽にご相談ください。

この記事を書いた人

アバター画像

株式会社ACLIVE

株式会社ACLIVEは、住宅に関する資材の販売と総合的な提案を行い、エンドユーザー、工務店、メーカーを繋ぐ企業です。