家の倒壊を招く塑性変形を防いで、資産価値の高い家づくりを

家の倒壊を招く塑性変形を防いで、資産価値の高い家づくりを

あまり聞き慣れないかもしれませんが、世の中に存在する物体は、弾性、塑性という性質を持っています。

弾性とは「物体に力を加えると変形し、その力を取り除くと元の形に戻る」性質のことで、弾性変形とは、力を取り除くと元の形に戻る変形のことをいいます。例えば、バネやゴムを引っ張ると長さが伸びますが、引っ張るのをやめると元の形に戻ります。これが弾性変形です。

一方、一定以上の力を加えすぎると、バネやゴムは破断して元の形に戻りません。この「力を取り除いても、元の形に戻らない性質」を塑性といい、元の形に戻らない変形を塑性変形といいます。

これらの性質は、一般的に、力を加えていくと弾性変形を経て、塑性変形に移行します。

図にあるように弾性限度を超えるまでは材料が変形しても元に戻ることができますが、降伏点といわれる基準点を超えると塑性変形を起こして元に戻ることなく、力が加わり続けば、最終的に破断してしまいます。

塑性変形が家の倒壊を招く要因

この現象は、家を構成する木や金物などの材料でも同様です。一定以上の地震の揺れが力となって家に加わると、柱や梁、桁、接合金物などが塑性変形を経て破断し、その結果、家の倒壊を招きます。

例えば、2016年に起きた熊本地震では1度目の揺れでは耐えられても、2度めの揺れで倒壊してしまった家が数多くありました。

▲2回めの地震による家の倒壊

これは「前震の強い揺れで塑性変形が起こりなんとか建っていたものの、その状態に、本震での揺れの力がトドメを刺し、破断。ついには家が倒壊した。」という事象によるものと考えられています。

また、塑性変形と同時に留意したいのが、層間変形角。これは水平方向の変位量を階高で割った割合で、家が変形する角度(rad)のこと。この角度が1/120radまでであれば地震が収まれば家は元の状態に戻るとされています。一方で、1/120radを超える変形を生じる地震を受けると構造体が損傷し脆弱になり、繰り返し揺れると損傷度が増し、どんどん弱くなると考えられます。それにも関わらず、現在、耐震等級3が必須とされる長期優良住宅の家でも、層間変形角は1/40rad以下が基準とされているため、繰り返し起きる地震の下では耐震等級3の家でも倒壊のリスクが低いとは言えません。

つまり、家の倒壊を防ぐためには、耐震性を高めるだけではなく、塑性変形や層間変形角を基準値以内におさめ、変形を起こす原因となる地震の揺れ(地震エネルギー)を抑えることが重要なのです。

「プラス制震」で、資産価値の高い家づくり

家は私達が持っている資産のうち、高額な資産です。ライフスタイルなどの変化によってはその大切な資産を売却することも出てくるかもしれません。せめて、資産価値が高いまま維持しておきたいものです。

一般的に資産価値の高い家の特徴として、駅チカであることやスーパーや学校、金融機関など生活に必須な施設がある立地の良い家、都市再生を図る立地適正化計画内の家、安定した地盤や災害による被害が少ない土地にある防災性の高い家などが挙げられます。

しかしそれだけではありません。2011年の東日本大震災や2016年の熊本地震以降、防災意識が高まり、住宅を建てる・購入する際に重視するポイントに高耐震性や高耐久性が加わってきたというデータがあります。これからはますますこういった家の性能に着目されることが予想されます。

■住宅・住宅業者選びで重視するポイント

■家の性能で重視するポイント

※住まい夢ネットよりデータ引用

耐震だけでなく制震性能をプラスした揺れにくい家を建てたり、中古住宅を購入した後に制震リフォームを行うなどして、塑性変形を起こさない、損傷しない家を建てることが、これからの時代の資産価値を高める家づくりです。(制震コラムの記事へリンク)

「お家まるごと制震シェルター」を設置した家は、層間変形角を1/120よりもさらに小さい1/200以内にとどめることが実証されており(※ダイナミックファスナーの取り付け個数など条件によって変わります)、塑性変形を起こさない程度までに揺れを抑えられます。繰り返し地震が起きても、安心して暮らせる、さらには損傷のない資産価値の高い家づくりを実現します。

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