4号特例縮小=許容応力度計算義務化ではない!改正内容とプラス制震の重要性を解説

これまで「4号建築物」と呼ばれる特定の条件を満たした建築物がありましたが、2025年4月の建築基準法第6条の改正によって4号建築物がなくなり、2号建築物、3号建築物に区分される事となりました。この記事では、4号特例縮小による業界への影響や、改正の具体的な内容、覚えておくべきポイントなどについて、制震装置を提供するお家まるごと制震シェルターが詳しく解説します。

この記事を監修した専門家

西日本工業大学 デザイン学部建築学科
古田 智基

愛知県名古屋市出身。子供時代は活発に過ごし、大学では日本は有数な地震国であることから耐震工学を専攻。二十数年の企業経験を積み、西日本工業大学の教員に至る。

4号特例縮小による工務店への影響

4号建築物とは

4号建築物とは建築基準法第6条第1項第四号に定義されている小規模建築物のことをいいます。判断する目安は規模と用途の2つです。

規模
▼木造建築物の場合 ※全て満たす
2階建て以下、延べ面積500㎡(151.25坪)以下、最高高さ13m以下、軒高9m以下
▼木造以外の場合 ※全て満たす
平屋、延べ面積200㎡(60.5坪)以下

用途
原則、特殊建築物ではない
特殊建築物の場合は延べ面積200㎡(60.5坪)以下であること

特殊建築物とは
不特定かつ多数の者が利用する用途や火災の危険性が高い建築物のことをいいます。
(例) 劇場、映画館、集会場、病院、ホテル、旅館、下宿、共同住宅、児童福祉施設、学校、体育館、図書館、公衆浴場、飲食店、倉庫、自動車車庫、自動車修理工場 etc.

4号特例とは

4号建築物は、確認申請や検査の場面で特別扱いをされてきました。

(国土交通省:建築確認・検査の対象となる建築物の規模等の見直しより)

確認申請の要否の特例(建築基準法第6条)

都市計画区域、準都市計画区域、準計画区域、知事が定めた区域以外に建築する場合、大規模な修繕・模様替えの場合、用途変更の場合、確認申請は不要となります。

確認申請の添付書類の特例(建築基準法第6条の4)

確認申請に一部図書(構造計算や採光検討など)の添付不要。ただし、添付不要というだけで、建築基準法に適合させなくて良いという訳ではありません。建築士が責任をもって確認する必要があります。

検査の特例(建築基準法第7条の5)

検査についても、確認申請の特例で審査した内容のみ検査を受ければ良いとされています。その場合、規則第4条第1項二号の写真の提出が必要です。構造耐力上、主要な部分の軸組の写真、仕口その他接合部の写真、基礎鉄筋部分の写真が検査の特例を受けるためには必要です。

建物使用制限の特例

法文上、4号建築物は検査済証交付前でも使用できることになっています。ただ、検査前に引っ越しなどをして家具を設置してしまった場合、検査で見るべき部分が隠れてしまい合格にならない可能性があるので、できるとしてもやらない方が良いです。

2025年4月、4号特例縮小

建築基準法第2025年4月の建築基準法第6条の改正法の施行に伴い、建築基準法の条文から4号建築物がなくなり、2号建築物、3号建築物に区分されます。

建築基準法第6条1項の改正(現行法)

建築物の種類等
一号特殊建築物:床面積200㎡超
二号大規模木造:3階以上、延べ面積500㎡超、高さ13m超、軒高さ9m超
三号非木造:2階以上、延べ面積200㎡
四号上記以外の建築物

建築基準法第6条1項の改正(改正案)

建築物の種類等
一号特殊建築物:床面積200㎡超
二号新二号:2階以上、延べ面積200㎡超
三号上記以外の建築物

平屋かつ延べ面積200㎡(60.5坪)以下の建築物以外の建造物は、構造によらず、構造規定等の審査が必要になりました。省エネ基準の審査対象も同一の規模となります。また都市計画区域外であっても、平屋かつ延べ面積200㎡(60.5坪)以下の建築物以外は建築確認の対象となりました。

これまで木造住宅であれば、平屋・2階建ての場合は延べ面積500㎡以下であれば、構造関係の図書類の提出が不要とされていましたが、今後は2階建て住宅は全て、構造・省エネ関連図書の提出が必要となります。

ただ、今までも提出義務はなくとも構造関係の計算は必要とされてきたので、特に何かが変わるという話ではありません。計算をしていないのに計算をしているとごまかすことができなくなっただけなのでご安心ください。

構造の確認方法についても、許容応力度計算(構造計算)が義務化された訳ではなく、従来どおり仕様規定での計算で計算すれば事足ります。

構造の確認方法

構造の確認方法については建築基準法第20条に規定されています。
建築基準法第6条が改正されることに伴い、4号から新2号に変更になった住宅は構造計算(許容応力度計算等)が必要になるのかというとそうではありません。

一般的な2階建て住宅では、簡易的な仕様規定により構造を確認し、図書を提出すれば良いとされています。

簡易計算

構造の簡易検討である仕様規定は3つの簡易計算と8つの仕様ルールからなる11項目で規定されています。

3つの簡易計算

  • 壁量計算:壁量の確保
  • 四分割法:壁配置のバランス
  • N値計算法:柱の柱頭・柱脚の接合方法

8つの仕様ルール

  • 基礎の仕様
  • 屋根ふき材等の緊結
  • 土台と基礎の緊結
  • 柱の小径等
  • 横架材の欠込み
  • 筋かいの仕様
  • 火打材等の設置
  • 部材の品質と耐久性の確認

ごく簡易的な計算で、現在、多くの住宅会社で採用されている計算方法です。

性能表示計算による確認(品確法)

品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)で規定されている住宅性能表示制度による計算では、仕様規定の壁量計算に加えて、床・屋根倍率の確認と床倍率に応じた横架材接合部の倍率も検討します。
住宅性能表示計算では、耐震等級2以上が保証されるほか、長期優良住宅認定やハウスメーカーで耐震等級を確認する際にも活用されます。

許容応力度計算による確認(構造計算)

許容応力度計算は、3つの確認方法の中でもっとも詳細な計算です。複雑で手間も時間もかかるため、300㎡を超えない木造の平屋や2階建て住宅では省略されがちです。構造計算ソフトを用いて柱や梁、接合部の全てにおいて安全を確認します。主に以下の項目について検討されます。

  • 壁量計算
  • 壁の配置バランス
  • 水平構面
  • 柱頭柱脚の接合方法
  • 柱や梁、横架材など部材検討
  • 基礎設計
  • 地盤調査
  • 地盤補強工事

国の施策として、ZEH基準の住宅についてはこの許容応力度計算での計算を進めていきたいという思惑があります。省エネ性能の高い住宅は、建物全体が重量化し、建物に作用する地震力が増えるため、より地震に強い建物であることが求められます。

4号特例廃止の話題で、お施主様も以前より構造について気にされることが多くなることが予測されます。 工務店の皆様に対しても、より耐震性、耐久性の高い住宅を提供することが求められるようになります。

プラス制震でさらなる安心を

制震は家の丈夫さを長持ちさせる

最も詳細な構造の確認である構造計算を実施した頑丈な住宅でも倒壊する可能性はあります。それは大きな地震が複数回発生した場合です。

こちらのコラムでも紹介していますが、物質は弾性、塑性という性質を持っています。一定以上の力が加わると力を取り除いても元の形に戻らない塑性変形が起こります。大地震が起こると強い力が住宅にかかり、損傷が残ります。損傷が起こった部分に再び強い揺れが起こると、耐えられずに崩壊してしまうのです。

塑性変形を防ぎ、家にダメージを残さないために重要なのが「制震」です。制震デバイスを住宅に取り付け、地震力を吸収することで、揺れ幅を抑え、塑性変形を防ぎます。

命だけでなく財産や暮らしを守るのが地震対策

家の倒壊を防ぐだけが地震対策ではありません。揺れ幅が大きくなるほど家が破損し修復にもお金がかかります。中破であれば㎡あたりの損害額は5~10万円、小破であれば0.1~5万円程度かかると言われています。

倒壊は免れたとしても、多額の修繕費用がかかったり、家の中がめちゃくちゃになって長期間日常生活に戻れなくなることを防ぐためにも家の揺れ幅を抑えることはとても重要です。

高性能なのに低コストな制震デバイスで制震住宅普及

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